松本滋子による指先も声も震えがちな自身のセンター曲「窓際LOVER」のピアノの弾き語りが始まった途端
かつて日本青年館などで何度も見た、幾多のアイドルのファーストコンサートの甘酸っぱさが蘇ってきた。
例年ならリクエストアワーが開催される11月、
SKEから48グループ初の”新たなる形式”のコンサートが試みられた。
「みんなが主役!SKE48 59人のソロコンサート~未来のセンターは誰だ?~」
である。
19日、20日に渡って昼夜4回に分けてメンバーそれぞれが持ち時間10分を与えられ、ソロコンサートさながらの内容を立て続けに披露するというもので、ここまでメンバーそれぞれの個に焦点が当てられたコンサートは大規模アイドルグループとしても初めてと言って良いだろう。
正直、僕はあまり期待していなかった。
個々のメンバーがどこまで創意工夫を凝らして自らの魅力を提示できるのか、単純な興味はあったものの、昨年までのリクエストアワーでも露呈していたファンでなければ楽しみにくいという性質のイベントを予想して限界を感じていたからだ。
シングルセールスやリリース数の減少傾向、新公演もオリジナルではないという状況の中で、例年と同じ形式では盛り上がりにくいとの判断もあったのだろう。
何より驚いたのはSKEとしては珍しく潤沢な予算を感じさせる(苦笑)豪華なゲスト陣を迎え、個人だけでなく地域や著名人と一体となった演出で
単なるソロコンサートの数珠つなぎ
という枠を越えるエンターテイメント性が強く感じられたことだ。
特に将棋界の大御所、加藤一二三氏をゲストに迎えた鎌田菜月、
速水けんたろう氏と「お母さんといっしょ」さながらの児童番組を再現してみせた大矢真那、
地元ラジオで共演中の元中日井上一樹氏とのコラボを見せた日高優月、
よさこい祭りとのコラボで地域色とともにらしさを見せた北野瑠華、
斉藤真木子の吉本新喜劇一本勝負、
愛知県知事のご登場など
多彩なゲスト陣のブレンド具合の巧みさで世間や地域を巻き込んで
話題を作って行こうという”視野の広いエンタメ”になっていたことが
満足度の高さに繋がっているように思う。
ゲストと言えばかつてナゴヤドームでのコンサート(2014年2月)では無駄に多すぎて大不評を買ったことが思い出されるが、あの頃と状況は異なっている。
松井玲奈卒業後、地元回帰の流れの中で、ちゃんと意味のあるコラボになっていたことが大きな違いだろう。
最後は、ここのところ絶好調である珠理奈の問答無用のパフォーマンスで見事にSKEらしさを堪能させて、実に締まりのある終幕を迎えられたことも特筆に値する。
ちょっと絶賛しすぎなので(笑)あえて苦言を申し上げると
自分のやりたいことをやるという方向性や、アイドルらしい可愛らしさを凝縮した直球をくったくなく受け入れることができたのは、概ね7期生以降だった。
ドラフト1期生以上はキャリア的には何らかの説得力、企画力など、可愛さだけに甘えない
エンターテイメントを提供するという姿勢が求められるべきで、ややその辺りで置いてきぼりにされた部分もあった。
すべてのメンバーで満足できたわけではないが全体としては十分に大成功だ!
メンバーのかつてないほどの緊張感と思い切りが、見ていて気持ちよかった!
直接見れたのは初日の昼の部だけだったが
ネタに走りすぎずバランス良くまとめつつも想像を超えた内容で
ちゃんとアイドルしてたゆめち!
どんちゃん、みこってぃは企画とキャラのマッチングが絶妙!
見どころ十分で楽しませてもらった。
見どころ十分で楽しませてもらった。
町音葉のくったくないキラキラアイドル感、そして「ミニスカートの妖精」を歌い上げ、甘酸っぱい王道アイドル路線でホッとさせてくれた江籠裕奈が強く印象に残ったことを強調しておきたい。
8期生のお披露目に、研究生の昇格発表
須田の自己啓発本出版など最後まで飽きさせない展開も秀逸だった。
なんにせよ、安易にリクアワを置いて来なかった攻めの英断と、これだけの大人数を、一人一人の魅力を引き出さんと奔走されたであろうスタッフ陣には、素直に拍手を送りたい気分でいっぱいだ!
最後に、この初の試みは箱推しが多いSKEだからこそ先頭を切って成立し得たのではないだろうか?
全てのメンバーにエールを送ることのできる温かいファンの存在に
自らも一員でありながら、あらためて熱い思いが込み上げた2日間でした!